2007年02月12日160号 国家の限界

『国家の品格』だとか『美しい国、日本』とか… 国家のありかたがよく論じられるようなりました。

でも個人的には、どうもこのような風潮が馴染めません。 とはいっても私は日本食が大好きでワールド・カップも日本を懸命に応援した典型的日本人です。

『国家の品格』という本はタイトルでヒットしたともいわれていますが… 私はこのタイトルが気にいらないので読んでいません。 ”日本人の品格”ならわかるのですが…”国家の品格”とは何でしょう。 何でしょうと思うなら読めば言いのでしょうが(^_^;)

人類の歴史をひも解くまでもなく、古今東西いつでもどこでも、 人類は個人を犠牲にしながら国家を維持してきました。

環境問題を考えれば人口減少は自然の流れですが、国家の視点から見れば危機のようです。 それが…柳沢厚生大臣の「女は産む機械」発言に繋がるのでしょうが、 【失言はホンネ】ですから彼は正直者だと思います。 政府は”国家”を守り維持発展さすのが役目です。 柳沢サンは国家から給料を貰って国家のために仕事をしているのですから 「女は産む機械」と考え、 国益を守るために戦争があれば「男は戦う機械」と考えても何の不思議もありません。

国家に限らず集団は大きくなればなるほど、 その組織を維持するために個人が犠牲になるという構図があるわけです。 日本人はけっこう、この構図が好きな事は先々号でも書きましたが… この土曜日YUKIと”損害保険業界ネットのOFF会”に参加して、またその感を強くしました。

これで2回目の参加で、閉鎖的な業界の中で色々な立場の関係者がホンネで意見を闘わせて ”生保業界のアカラックス”に対して”損保業界のOFF会”は平均年齢もグツと若く 私の楽しみのひとつになってきたのですが…

私は【ゆったりECOな保険ライフ】というブログを週3回のペースで連載していますが… その基本テーマは保険会社の商業主義に惑わされず、 どんな小さな契約でもネットを上手に使いながら、長くホンネで楽しくやっていく事が お客様にとっても代理店(すなわちワタシ)にとってもHAPPYで経済的というオハナシです(^_^;)

今の保険業界を見回すと新たなビジネス・チャンスとしての新規参入や販売チャネルも増え続け、 保険会社はどこも効率性や収益性を求め大型化をめざし、 私のような個人代理店は淘汰の風にさらされる環境にいるのです。

しかし、保険産業は基本的にパイの決まったゼロサム(例・クルマ1台に2つの自動車保険はない)の 世界であるという事を忘れてはならないのです。 それなのに、どこもここも効率性や収益性を伸ばす事ばかり考えていたら、どうなるでしょうか? そのシワ寄せは契約者にいくのではないでしょうか。 組織が出来れば組織を守るために、収益を上げる事に邁進し個人(従業員や客)を犠牲にします。

私の販売スタイルを語ったら「それは理想だが、そんな事をしたら会社はやっていけない」 と語った大型代理店の代表者がいました、私も当然だと思いました。 それは会社という組織を守るために、従業員の尻を叩きながらでも収益性の高い保険商品を 『売る機械』にならなければならない事もあるからです。

またある40歳の代理店さんは「この仕事は60歳以上は続けられないし続けようと思っていない」 という発言に現在60歳の私はビックリしてしまいました(^_^;)

安定した顧客も抱え、実戦知識が蓄積された、あるていどの高齢になってこそ ほんとうの意味での顧客本位で親身なコンサルティングが出来るのではないでしょうか? 生産性や効率性で小さな代理店を淘汰するのではなく 生業(なりわい)として定年ナシで、ほんとうの意味での顧客本位の出来る保険代理店にこそ 21世紀のビジネス・モデルがあるのと私は思っているのです。(^_^)

「保険会社とホンネで大いにワタリアウべき!」と若い代理店経営者にケシカケましたが… 多くの従業員を抱えスタートしたばかりの経営者にはリスクを感じるようです。 失うものがほとんどない個人として確立した私のような代理店だから言えるのかもしれません。

でも…どうしてみんな組織を作りたがるのでしょうか? そして、その組織を守り維持するために『機械』になって我慢やムリをするのでしょうか?

ネット時代は個人がもっと自由に好きな事を生涯やっていける時代なのです。 まずは「組織の限界」「国家の限界」を知ることではないでしょうか。

それが平和やECOや少子高齢化社会や地域格差や雇用問題をとくカギとなり […]

2006年02月27日110号 危機管理

私の仕事は保険屋です。 かっこうよく言うとリスク・コンサルタントです。 保険はリスクに遭った時の経済的な負担を補うものですが、 ほんとうに大切なのは”事故”に直面した時の対応の仕方なのです。

最近のニュースを見ていて、そのマズさが目につきます。 東横インの社長の最初の記者会見も「真面目に誠意を持って対処していたら、マスコミも面白がって 取り上げなかったでしょうし、あそこまでのダメッジはなかったと思います。」 雪印乳業は社長の「私も寝てない!」とのひと言が命取りになったと言われているのです。

22日(水)…とても危機管理の無い、ある生命保険会社の部長さんとお逢いしました。 場所はその保険会社に加入されているお客様のご自宅です。

昨年の11月の始め、お得意様のご自宅に海外旅行保険の事で訪問した時のことです。 妹さんのHさんが見えていて生命保険の話になりました。 ある生命保険会社の新型保険に転換したばかりで設計書まで持っておられたのです。 58歳のご主人の保険で簡単に言ってしまえば前の契約を転換(解約)することで 200万円の転換資金を10年間の保障で使い切ってしまおうというものです。 10年経過すれば保障も資産価値もほとんどなくなってしまうのです。

Hさんはそんな保険とは理解しておらず、要望にもまったく応えていないとショックを受けられました。 契約からそれほど経過していないし、外交員が保険料の立替までしていたという事ですから 「強く言ったら元に戻せますよ」とアドバイスしておきました。

11月15日、外交員と営業所長が保険会社の解答が出たのでHさん宅に来るというので、 私もアドバイザーとして立ち合わせてもらいました。 私が居ることに二人はビックリしたようですが、私を無視?してHさんに説明しました。 「会社に契約の取消し申請したのですが却下されました、したがって今のご契約をこのようにして…」

私はそこで口を挟みました。 「会社で却下されたと言われましたが、それはどこの誰が却下したのか担当者を教えてください、 今ココで電話して確認させて頂きますから」 所長の顔つきがかすかに変わりました。 「もう一度、社に戻って再度申請を出します」と言って慌てて帰ってしまいました。 二人が帰ったあと私は言いました。 「ちょっと甘く見られてようですね、今度こそ早急に戻すでしょう」と。

しかし12月に入っても何の連絡もなく、Hさんが催促しても 「まだ本社からの返事が来ないので…」の一点張りだというのです。 そして年が明けても進展がありません。

問題の多い契約ですから契約は白紙に戻せると思っていましたが、あまりにも対応が遅いので、 Hさんから外交員のケータイを聞いて直接状況を聞いてみることにしました。 外交員のことを考えて私は、なるべく内密にして早く処理させてやろうと思っていたのです。 事が明るみに出たら末端の外交員に責任の全てが押し付けられるのを数多く見てきたからです。

Hさんは転換する前、加入していた保険の保障内容を大きく減額したいと思っていました。 それが転換で消滅し、新しい保険に切り替わったわのです。 問題は… 保険契約を白紙に戻したら新しい契約は消滅しその分の保険料は返されるのですが 引き換えに古い契約が復活し、その分の保険料は転換時から遡って支払うことになります。 それは困るから減額したいと思っても、古い契約が復活するまで手がつけられません。 そのことを外交員に告げると… 「減額の話はHさんから聞いています、その事も含めて申請を出しているので時間がかかっているのです。」 そして…「元の契約の減額は転換の時点でした事になりますので、転換取消しが長引いたからといって Hさんの負担が増える事は決してありません」と断言するのです。

保険契約の減額を口頭だけでやれるはあまり信じられませんが… そこまで断言するなら様子を見る事にしました。

2月16日(木)Hさんから電話がありました。 保険会社から来た葉書に1ヵ月分だけ返還すると書いてあるので 外交員にその意味を聞いたのだけどサッパリわからなというのです。 その葉書をFAXしてもらい外交員に電話をしました。 このヤリトリは書き出すと複雑で長くなるのでカットします(^_^;)

ようするに進展も誠意も一切見られない事がハッキリしたので… […]

2006年02月20日109号 「そうなっています」

「そうなっています…」 「そういう決まりですので…」 このような答えがよく戻ってきます。 「どうして?」と聞いているのにです。 特に私の職業である”保険の世界”にはコレが多いのです。

自動車保険の給付金をめぐって損害課に「なぜ?」「どうして?」と、とことん聞いたのに… 「そうなっている」としか答えない責任者の言葉に怒りのあまりココに書いちゃったこともありました。(^_^;)

保険会社が代理店を対象とした業務連絡会というのがあります。 商品や事務の変更などがレジメにそって「そうなりました」という説明だけで 代理店が聞きたい「なぜ?」「どうして?」という質問には、ほとんど応えてくれません(^_^;)

そこで?代理店を対象とした『ヘルプ・デスク』というのを設けれれるようになりましたが… ここでもマニュアルを見ながらの「そうなっています」と応えるばかりで 「そういった事は担当社員にお聞き下さい!」と言われてしまいます。(^_^;)

保険会社の社員というのは通常3年くらいで異動になります、それも最近では保険会社の 業務も多様化していますので、どの分野から来るかも判りません。 私も保険業務に携わって20年になりますから、ある程度のスペシャリストでないと 私の「なぜ?」「どうして?」にはなかなか対応してもらえません(^_^;)

そんな中において私の生保担当・M君は頑張ってくれています。 私がありきたりの質問をして電話を切ろうとすると 「エッ そんな解答でいいんですか?めずらしい!」なんていうのです。 M君も私に鍛えられて?とてもたくましくなって来ましたが、あくまで珍しい存在です。(^_^)

私が「なぜ」「どうして」にこだわるかというと… まず、自分自身がプロとして保険を理解していく上で、不可欠なことだと思っているからです。

私がDr.KENの名前で参加している【保険選びネット】という掲示版があります。 ここには生命保険に関する数多くの質問が毎日寄せられます。 保険会社や代理店の世界では…「そうなってます!」がどうも通じるようですが 一般の相談者に対しては「そうなっています!」では通じないと私なんかは思ってしまうのですが。

そこでの「プロ」の解答も…「そうなっています」というのがとても多いのです。 これでは相談者が怒るのではと私は思うのですが、思議なことに… 「そうなっているなら、そうだろう」と相談者も素直に受け取ってしまうのです。 保険のプロ自身がそう思っているのですから説得力があるのでしょう。多分。

そうなると例えばこんな事になってしまうのです… 生命保険に加入する時に健康状態を報告する【告知】に関する質問がよくあります。 普通なら覚えていないような、とても些細ことまで「告知すべきですか?」といったような相談にたいしても… マニュアル通りのワンパターンで… 「告知はすべて、ありのままに正直に書くことになっています」 そして追い討ちまでかけます「告知義務違反をすると保険金は支払われません」と。

このやりとりを目にした別の人が心配になって、こんな質問をしてきます。 「今加入している生命保険ですが実はその数年前に入院していた事を告知せず 加入してしまったのですが大丈夫でしょうか?」 これに対してもワンパターンの模範解答?が返ってきます。 「それは告知義務違反ですから追加告知をして下さい、保険金が支払われなくなることがあります。」 こんな問答が繰り返され保険契約全体が不信感をもたれるようになっていくのです。

公開されたサイトで偏った意見が出たときには他のプロから反論が出るのですが この手の質問では出てきません。 なぜならば、それは(マニュアル通りの)正しい意見だからです。 私も「告知は適当で良い」なんて決して言っているのではありません。 そんなことを言ったら募集資格を剥奪されてしまいます(^_^;)

私が問題にしているのは… ココでのテーマである「そうなっています」が、どんどん独り歩きして誰も疑問に思わないで、 そして誰も責任をとろうとしない事なのです。

マニュアル通りに「そうなっています」と応えていたら責任を取らされることはありません。 それは相談者にもいえます… なぜそのような相談をしたかといえば、保険金が貰えなかったら困ると思ったからでしょう。 だったら、すべてありのまま正直に告知すればいいのですが… […]