2006年02月20日109号 「そうなっています」

「そうなっています…」 「そういう決まりですので…」 このような答えがよく戻ってきます。 「どうして?」と聞いているのにです。 特に私の職業である”保険の世界”にはコレが多いのです。

自動車保険の給付金をめぐって損害課に「なぜ?」「どうして?」と、とことん聞いたのに… 「そうなっている」としか答えない責任者の言葉に怒りのあまりココに書いちゃったこともありました。(^_^;)

保険会社が代理店を対象とした業務連絡会というのがあります。 商品や事務の変更などがレジメにそって「そうなりました」という説明だけで 代理店が聞きたい「なぜ?」「どうして?」という質問には、ほとんど応えてくれません(^_^;)

そこで?代理店を対象とした『ヘルプ・デスク』というのを設けれれるようになりましたが… ここでもマニュアルを見ながらの「そうなっています」と応えるばかりで 「そういった事は担当社員にお聞き下さい!」と言われてしまいます。(^_^;)

保険会社の社員というのは通常3年くらいで異動になります、それも最近では保険会社の 業務も多様化していますので、どの分野から来るかも判りません。 私も保険業務に携わって20年になりますから、ある程度のスペシャリストでないと 私の「なぜ?」「どうして?」にはなかなか対応してもらえません(^_^;)

そんな中において私の生保担当・M君は頑張ってくれています。 私がありきたりの質問をして電話を切ろうとすると 「エッ そんな解答でいいんですか?めずらしい!」なんていうのです。 M君も私に鍛えられて?とてもたくましくなって来ましたが、あくまで珍しい存在です。(^_^)

私が「なぜ」「どうして」にこだわるかというと… まず、自分自身がプロとして保険を理解していく上で、不可欠なことだと思っているからです。

私がDr.KENの名前で参加している【保険選びネット】という掲示版があります。 ここには生命保険に関する数多くの質問が毎日寄せられます。 保険会社や代理店の世界では…「そうなってます!」がどうも通じるようですが 一般の相談者に対しては「そうなっています!」では通じないと私なんかは思ってしまうのですが。

そこでの「プロ」の解答も…「そうなっています」というのがとても多いのです。 これでは相談者が怒るのではと私は思うのですが、思議なことに… 「そうなっているなら、そうだろう」と相談者も素直に受け取ってしまうのです。 保険のプロ自身がそう思っているのですから説得力があるのでしょう。多分。

そうなると例えばこんな事になってしまうのです… 生命保険に加入する時に健康状態を報告する【告知】に関する質問がよくあります。 普通なら覚えていないような、とても些細ことまで「告知すべきですか?」といったような相談にたいしても… マニュアル通りのワンパターンで… 「告知はすべて、ありのままに正直に書くことになっています」 そして追い討ちまでかけます「告知義務違反をすると保険金は支払われません」と。

このやりとりを目にした別の人が心配になって、こんな質問をしてきます。 「今加入している生命保険ですが実はその数年前に入院していた事を告知せず 加入してしまったのですが大丈夫でしょうか?」 これに対してもワンパターンの模範解答?が返ってきます。 「それは告知義務違反ですから追加告知をして下さい、保険金が支払われなくなることがあります。」 こんな問答が繰り返され保険契約全体が不信感をもたれるようになっていくのです。

公開されたサイトで偏った意見が出たときには他のプロから反論が出るのですが この手の質問では出てきません。 なぜならば、それは(マニュアル通りの)正しい意見だからです。 私も「告知は適当で良い」なんて決して言っているのではありません。 そんなことを言ったら募集資格を剥奪されてしまいます(^_^;)

私が問題にしているのは… ココでのテーマである「そうなっています」が、どんどん独り歩きして誰も疑問に思わないで、 そして誰も責任をとろうとしない事なのです。

マニュアル通りに「そうなっています」と応えていたら責任を取らされることはありません。 それは相談者にもいえます… なぜそのような相談をしたかといえば、保険金が貰えなかったら困ると思ったからでしょう。 だったら、すべてありのまま正直に告知すればいいのですが… […]