2005年07月25日079号 室生寺

この1年ちょっとで、YUKIとのクルマで行く全国ツアーもすっかり定着化して それが二人の大きな楽しみにもなってきました。

今回も午前3時に…バタバタと荷物をクルマに詰め込み出発です。 助手席のYUKIの足元にはマルエツで買った袋菓子や眠気覚ましのキャンディー そして私の必需品【お~いお茶・濃い味】、その予備として2リッターボトルは冷凍庫で凍らせ バスタオルで丁重に包んでおきます。

今回のお客様は大阪の堺市です。 大阪にはこれまで東名・名神を使って数え切れないほど行きましたが、 YUKIが今回はルートを少し変えようというのです。 名古屋の手前、豊田ICから伊勢湾岸道路・名阪国道経由でいくコースで 確かに名神経由より50キロぐらい短縮される、はじめてのルートです。

はじめてのはずです、東名の豊田ICから伊勢湾岸道路に入るわけですが、 昨年12月に購入したカーナビには何の案内も出てきません。 道路標示にしたがって伊勢湾岸道路に入ったのですがカーナビには高速道路の表示はなく、 ただ地図の上を浮遊しているのです。 この道路は名古屋万博に合わせて開通したのでしょう。

途中から一般国道に入り【伊賀】という地名を見ました。 伊賀といえば忍者です、その先に甲賀という地名もあります。 立ち寄ったサービス・エリアで忍者の記念写真をYUKIと私でそれぞれ撮りました。 忍者屋敷もあるというのでカーナビで検索したのですが、どういうわけか検索されずあきらめました。 なんせ何の観光ガイドも情報ももたず走っているのです。

しばらく行くと【室生】(むろう)という地名が表示されました。 その地名から私は室生寺という寺院の名が頭をよぎりました。 何年か前に古い五重塔が台風で倒れた木に無残に潰されたニュースを見たのと 由緒ある古い寺院だという認識ぐらいしかありません。 YUKIはまったく聞いたことも無いというのですが…これは私も納得です(なんせYUKIですから)

話が戻りますが【伊賀の影丸】は知っていたので驚いたくらいです。 それでも横山光輝の漫画である事までは知らないようで… ただ伊賀といったら影丸と…何だか判らないけど出てきたというのです。 そして、最近薄くなったと気にしている私の後頭部を叩いて、「KENはハゲ丸!」なぞと喜んでいるのです。 私にデリカシーが無いといつも非難するYUKIですが、そういう本人も相当なものです。

さて、話は室生寺です。 カーナビで『室生寺』と検索すると、今度はここから11キロとはっきり表示されます。 時計は午前9時過ぎ…堺市のMさん宅には午後3時の訪問予定で時間は充分にあります。

YUKIは「どんなところ?」と聞きますが… 私の認識は前述したぐらいで、なんの知識もありません。 でも、鎌倉や京都ならともかく、こんな奈良の山奥の寺院にわざわざ来ることは ないかもしれないので、私はいってみようと思いました。 YUKIは「KENが行きたいとおっしゃるならオマカセします」というのです。 これが、けっこうキツイのです、もしソコが期待はずれだったりすると… とても、とても、私はバカにされ、また私の繊細なデリカシーがキズつくのです。 でも、ここまで来たら行くしかありません。

カーナビは山の奥深く案内していきます、 やっと目的地周辺に到着し山門の御土産屋さんが並ぶ狭い道へと入って行きます。 まだ朝の10時前で観光のクルマも人気もありませんが、無料の駐車スペースもありません。 大きな空き地に小型トラックが数台置いてある誰もいない有料駐車場にクルマを置いて数十メートル歩くと 一軒のお土産さんから声をかけられ駐車料金を600円取られ 室生寺の入り口で拝観料として一人500円で1000円取られ いきなり1600円の出費に、YUKIから”ただならぬ殺気”が漂います(^_^;)

でも…室生寺は素晴らしいところでした! 1600円の価値は充分にあってYUKIも満足してくれました。 何の予備知識もなく境内に入って感動したのは、 山深い中で何百年という年月と自然が融和した荘厳な美しさです。 石段ひとつとっても言葉で表せない気品に満ちているのです。 どの建物も苔むしてそれが美しいのです。 […]