2007年10月01日193号 安倍晋三と朝青龍

総理大臣と横綱という日本の代表的トップが 何だかよく判らない理由で仕事を放棄して逃げだしました。(^_^;)

この二人に対しては2ヶ月ほど前の週間KEN【危機管理PARTⅢ】でも触れています。 安倍氏には批判的に、朝青龍には同情的に書きましたが 驚いたのは、あらゆるマスコミが朝青龍をバッシングして私のような意見は皆無だったことです。

16歳で海外からひとりで来日して 文化も価値観も違う異国で、それも相撲界という閉鎖的・封建的社会の鋳型にはめられて 一心不乱に相撲に打ち込んできた20代の青年です。 その理由は何であれ… 母国に帰ってムジャキにサッカーをやったぐらいで 「品格が無い!」「国技である相撲を理解していない!」 あげくのはては「本当に病気か?」とよってたかって叩くのは 日本人の島国根性をみているようで私には気持ちの良いものではありませんでした。

そんなに品格を重んじる国技の相撲界で、 「品格どころじゃない」不祥事が名門時津風部屋でおきてしまって 朝青龍バッシングは収まりつつあるようです。

どちらにしても裸一貫、朝青龍の実力で勝ち取った”横綱”ですから 辞めたければ堂々と返上すれば良いと私は思っています。

さて問題は安倍さんです(^_^;) この人は裸一貫・実力で総理大臣になったわけではありません。 総理大臣として唯一国民に問いかけたのは先に参院選での 「私を取るか?小沢さんを取るか?」でした。 国民は圧倒的多数で小沢さんの民主党を選んだのに、安倍さんは総理の座に居座りました。

安倍さんは新しい内閣を発足させ、国会が開幕、総理大臣としての所信表明演説でやる気を見せて さーこれから!という時に突然、記者会見を開いて辞任を発表しました。

記者会見で安倍さんの言う辞任の理由は誰もが納得のいくものでなく、 自民党の議員ですら怒る人達がたくさんいました。 それはそうでしょう、「私を取るか?小沢さんを取るか?」の参院選の惨敗した時に退陣しないで 新しい自分の内閣を作って1ケ月もしない、まして国会が始まった時に、 総理大臣が勝手に辞任してしまったら、すべてイチからやり直しで大変な時間と経費がかかるのです。

でも辞任した安倍さんに対しては、マスコミも国民もなぜだか同情的になってしまいました。 辞任の記者会見の直後に慶応病院に緊急入院するまでは、誰も病気だと思っていなかったのに 急に安倍さんは病気だったという事になってしまいました。 でも今すぐ命に係わるような病気でも無いようだし、なんで緊急入院で、なんで緊急辞任なのか まったく、まともな説明はありません。

その後、慶応病院で2名の医師が付き添いで時間限定の”痛々しい?”記者会見があった翌日から 最後の首相官邸での挨拶や国会にも出席して、そのまま退院したようです。

田原総一朗も安倍さんの辞任は健康上のもので、それ以外無いといったような事を言っています。 もちろん彼だけでなく、あらゆるマスコミが口を揃えて”健康上の問題”で片付け それに対して、誰ひとり異議を唱える人もいないという事は先週号でも触れました。

田原氏は「朝まで生テレビ」で”天皇”や”部落”や”宗教”と言ったマスコミでのタブーに挑戦し 私はジャーナリストとして一目おいていた人物ですが, おトシをめされたのか?とても切れ味が悪くなってしまったようです。

誰も触れたがらない、誰も触れない事を掘り下げて追求するのがジャーナリストのはずなのに 最近のジャーナリストは談合してタブーを作って、同じようなニュースを横並びで垂れ流すようです。

そのおかげで(^_^;) 安倍さんはマスコミにおいて 『3億円脱税疑惑』について騒がれる事もなく 可愛そうな総理大臣として一旦退陣して、再起をきするつもりでいるのかもしれません。

私はこの一週間ほど、会う人、会う人に安倍辞任と【週間現代】の『3億円脱税疑惑』の関連を 聞いて回りましたが、ほとんどの人が「もう退陣したんだし、いいんじゃない…」といったような意見でした。

でも、また新しい閣僚の中から新たなスキャンダルが持ち上がって連日報道されるようになれば 赤木農相や朝青龍のようによってたかって、みんなでバッシングが始まるのでしょう。 もちろん安倍さんもバッシングによって辞める事になったひとりかもしれません。

ただ、それがマスコミにコントロールされているとしたら情けないと思うのは私だけでしょうか?

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