3月3日ひな祭り 私はあの吉野家のカレー丼なるものを食べてしまいました。
「あんな物は食べるものか!」と心の中では密かに思っていたのですが…
牛丼280円と比べれば割高でも、350円での外食にはまだ魅了があり負けて?しまったのです。
店内は活気がなく4名の先客がカウンターにまばらに座っていました。
メニューにはカレー丼の並と大盛以外にいくら鮭丼・麻婆丼がありましたが、私は迷わずカレー丼の並を注文しました。
「並一丁!」…やっぱりカレー丼が牛丼に変って吉野家のメインメニューである事がわかります。
なんだか店の雰囲気までが今までと違うと思っていたのですが、その理由がわかりました。
今までだったら、お客様=食べている人だったのですが、誰もボーと注文品を待ってるか食後の一服をしている人達だったのです。
厨房のお兄ちゃんは今、いくら鮭丼と麻婆丼にカレー丼が注文されてんてこ舞いをしているのでしょう(多分)
私はゆっくりと手洗いを済ましてカウンターに戻ると、カレー丼が大きなトレーに乗せられこっちに運ばれてきます。
何でトレーで? その理由はトレーがカウンターに置かれた時に解明しました、何と5つのアイテムが乗っているのです。
カレー丼・お冷や・お茶それにプラスチックのレンゲとプラスチックの小さな札が大きなトレーに無造作に転がっているのです。
それにしても寂しい光景です、あまりの寂しさの記念にデジカメに収めたい衝動に駆られたほどです。
トレーの大きさも吉野家には馴染みません、セルフサービスの食堂にあるような物です。
吉野家と云えば、活気のある狭いスペースで、素早く「お待たせ!」としかも両手で丁重に置かれた牛丼に紅生姜をいっぱい
添え、割り箸をわって、左手で暖かいドンブリをしっかり抱えハフハフとたいらげるのが正しい牛丼の食べ方だと、【牛丼道】を(勝手に)
追求する私は信じてやまないのです。
そして消費税込みの280円ピッタリをカウンターにおき「ご馳走様」と店を後にする時…
「ああ生きててよかった!吉野家よありがとう!よしやるぞ!」とファイトが沸いてくるのです。
しかし、これは何なのでしょうか?
まず、お冷やです、これを見ただけでその店のカレーに対する姿勢が見えてきます。
小さな安っぽいグラスに生ぬるい水、一応カレーだから水を付けましたという事なのでしょう。
これを見ただけでもカレー丼の味に不安を与えてくれます。
プラスチックのレンゲも悲哀が漂います、それに何でレンゲでカレーを食べなくてはならないのでしょうか。
プラスチックの札には【カレー丼並】と書かれた紙切れがセロテープで貼ってあります。
牛丼だけなら店員は食べ終わったドンブリをみて並・大盛り・特盛りを判別して勘定が出来たのでしょうが…。
それにしても文化祭の模擬店だってもうちょっとセンスのあるものを用意するのではないかと思ってしまいます。
お茶も本来なら最初に出てくるものではないでしょうか。
そして肝心のカレー丼です。
まず、ドンブリに入ったカレー丼なるものを食べた記憶がありません、すなわち初めて食べるのです。
たしかに箸では食べづらく、スプーンを突っ込むのも違和感があり、レンゲという事になったのでしょう。
いよいよドンブリにレンゲを入れます! あたりまえの事ですがカレーが上にありライスはその下にあります。
でも牛丼なら汁が下のライスまで沁みているのですがカレー丼はしっかりと上下がセパレーツになっており
白いライスはあくまで白く奥深くあるのです。
このまま食べ進めば上のカレーが底のライスと交わらないまま、最後にライスだけが残る惨状が予見できます。
それを克服するにはプラスチックのレンゲで奥深くライスをほじり、まんべんなく掻き雑ぜなくてはならないのです。
カレーの醍醐味は…大きなお皿にライスを平たく盛って、そこにカレーを上から好みの分だけ注ぎ、そのままざっくりと
大きなスプーンですくい上げ大きな口をあけてパックリと食べる…これが正しいカレーの食べ方だと【カレー道】を(勝手に)
追求する私は信じてやまないのです。
しかし、しかし…ドンブリでぐちゃぐちゃにかき合わされた”物体”をプラスチックの角の角張った(ラーメンについてくるような)
レンゲで口に注ぐわけですが、そのレンゲの角にご飯粒が残って出てくるのです。
そして、そして…肝心な味ですが、云うまでもなく予想的中です。
カレーの辛さも風味ない、ただ玉ねぎ(牛丼で使用していた)と豚肉の薄いスライスが入っただけの気が抜け食べ物です。
吉野家はやっぱり牛丼です、牛丼一筋を売り物にしているのに、何でこんなモノを350円で売るのでしょうか。
だったら350円でも400円でも450円でも国産牛を使ってでも牛丼を売れないのでしょうか。
それがどうしても出来ないなら当分店を閉店する位の覚悟があってもいいのでは?
「もっと哲学を持って経営せよ!」とすっかり哲学者!?になってしまった私は叫ばずにおれないのです。
私は350円を力なくカウンターにおき「ご馳走さま」とささやき店を後にしました。
「吉野家のアホ」と、心のなかで呟きながら…。