2007年01月15日156号 不二家の危機管理

その昔の”ケーキ屋KENちゃん”として…
また現在の”保険屋KENちゃん”として…
今週は”不二家の危機管理”について書かせていただきます。

私が”ケーキ屋KENちゃん”になるずっとずっと昔…
すなわち”3丁目の夕日”時代の私が幼少のころ、ケーキといえば不二家でした。

クリスマスには不二家のケーキを私や妹達は毎年楽しみにしていましたが、
ある年、銀座で飲んで酔って帰った父が買ってきたクリスマス・ケーキが
箱に中でひっくり返っていて、みんなで箱についたクリームを舐めたのを
とてもなつかしく思い出します。

しかし、大学を卒業し”フランセ”に入社した頃には
不二家はケーキ屋というより大手菓子メーカーという認識で、
ケーキ屋やレストランとしてはあまり良いイメージを持たなくなっていきました。
したがってジツは今回の”事件”も、それほどの驚いてはいません(^_^:)

11日(木)日経新聞の朝刊の記事で今回のニュースを始めて知りました。
何度か繰り返し読んだのですが、どうにも不思議な内容です。
脅迫されてイヤイヤ発表したというように思てしまうのは私だけでしょうか。

記事を要約すると…
昨年の11月に消費期限が1日過ぎた牛乳を使ってシュークリームを2000個作って
販売したという記事です。
出荷前の細菌検査でも問題が無く【社内規定に違反する行為】で
調べたのは【社内の諸問題を改善するためのプロジェクト・チーム】だというのです。
被害者も出ておらず、調べたのも内部で、こらだけの話なら法的な問題は無いのです。

不二家の記者会見で腹立たしく思ったのは…
責任を「昔からの古い考えを持った者で…」と製造担当者におしつけた事です。
日本生命も保険金不払いの責任を担当者一人に押し付けましたが…
このような事で担当者が私腹を肥やしているならともかく、そうでなければ
それを見過ごしてきた会社に責任がある事は歴然としています。

どうして”期限切れ”の牛乳が、そんなに出て来るのでしょうか?
牛乳は普通、製造されて7日間、工場に入荷されてからも5日ぐらいあるのものです。
小さなケーキ屋でも牛乳や生クリームは毎日オーダーするもので5日以上も放置される事は
考えづらいことです。
不二家は牛乳をふんだんに使ったキャンディー『ミルキー』が代表商品ですから
大量の牛乳を使用しているはずです。

シュークリームは鮮度が命の食べ物で作り貯めも出来ませんから、
常に新鮮な牛乳を優先するシステムぐらい簡単につくれるはずです。

私は不二家に良いイメージが無いと言ったのは
たまに利用する不二家レストランやチェーン店を見るかぎり”味”も”サービス”も”清潔感”
イマイチで外から見ただけでも危惧を感じるからです。
『社内規定』や『社内の諸問題を解決するプロジェクト・チーム』をこの事件をきっかけに作るなら
ともかく、そんなものが存在しながら、何でこんな事になったのか?
そこに問題の根源があるのではないでしょうか。

ネット時代の危機管理の原則は
何と言っても”情報開示”です…例え不祥事があっても素早く開示して謝罪することです。
それを隠したり責任を転嫁したりすると、キズはますます大きくなり命取りにもなりかねないのです。

複雑怪奇な保険業界ならともかく(^_^;)
単純なはずの菓子業界が難しくなってはいけません。
ペコちゃんポコちゃん ガンバレ!

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