小学校の何年生だったか忘れましたが、私が表彰書というものを初めてもらったのは 『良い歯をしている』という事でした。 それ以降も、表彰状とは縁の無い人生を歩んできましたので、 私が唯一自慢できるのが”歯”のみとも言えます。
そんな私も大学を卒業して就職したのが洋菓子メイカー、 ケーキ屋KENちゃんとしてケーキや菓子類の試食も重ね、 それでも風雪に耐えながら歯医者とは縁の無い生活を送り 初めて虫歯の治療をし奥歯2本を抜歯してブリッジで補強したのが十数年前。
それから、また歯医者と縁の無い生活を送っていたのですが… 今年6月初め、どうにもこうにも歯が痛くなって歯医者に行くことになったのです。 十数年のあいだにブリッジがすっかり外れ、それでもそのまま放置していたら、 その横の奥歯が弱って歯茎が化膿し、また抜けたままの奥歯の上の歯が 本来なら噛み合わせになる下の歯のないため伸びてしまっているのです。 ようするに十数年の放置のため私の歯はえらいことになってしまったようなのです。(^_^;)
ここから平均、週一回の歯医者さん通いが半年間続いて、先日晴れて? 左右の奥歯4本を補強する”義歯”が出来上がり、 とりあえず半年間の歯医者がよいは終了したのです。
歯医者にこれほど通ったのは私の人生でも経験がなく、それはそれなりに面白い体験でした。 (まーこれからは、ごやっかいになる事が多くなるのでしょうが)
そもそも、どのような治療がされているのかよく判りません。 ただ大きな口をあけて、なされるがママにしているしかないのです。 とても紳士的で、もの静かなドクターなのですが、ときどき鼻歌まじりで、 私の歯を削りながら歌いだすのが難点です。 「♪こまっちゃうな~♪」 なんて耳元で囁かれたら、不安になります(^_^;) 「♪あなたな~らどうする♪」なんて聞かれても私にはどうしようもありません(^_^;) ただ大きく口をあけてドクターの歌を聞くしかありません。
私は床屋でも、レストランでも、近くのスーパーでも、馴染みになると いろいろと会話をするのが楽しみな性分ですが… 歯医者さんに半年間も通って、会話らしい会話が出来なかったのも貴重な経験でした。(^_^;)
そして、これだけお世話になった歯医者さんで 毎週、至近距離で半年に渡って顔をつき合わせていたわけですが 多分、道ですれ違っても私はドクターに気がつかないと思います。 なぜならば合う時はいつも大きなマスクをしていますしていたからです。 だからといって、どんな顔をしているのかドクターの顔をのぞき込むのも抵抗があります。
そんなわけで、半年間、歯医者の椅子で大きく口をあけて目をつぶり ただドクターの囁きと、耳元で口ずさむ歌を聴いていたのです。(^_^;)