2005年05月09日068号 JR脱線事故に思う

脱線事故のニュースの第一報は踏み切りでクルマとの接触というものでした。
踏み切り事故であればクルマに過失があるのが常識です。
私は職業柄直ぐに思ったのは
「自動車保険の保障は対人はもちろん対物も無制限だろうか?」という事でした。
列車やマンションの物的損害からJRの営業損失など含めると
対物の損害だけでも、とんでもない賠償金額が予想されます。

しかしテレビには踏み切りも、衝突したであろうクルマの映像も出てきません。
不思議に思っていると、踏み切り事故は誤報で
「事故の原因はいたずらによる置石の可能性は高い」とJRは写真を持ち出して
記者会見で発表です。

これも誤報であることは後が判り、事故から2週間たった今では
次々にJR西日本の失態ぶりが暴露され、ニュースとして大きくとりあげられています。
こうなると袋叩きで、さらしものにされたJR社員は土下座するのみです。

はじめは隠す、次に責任転嫁、そして開き直り、最後に土下座する…
我が国の多くの組織や企業が不祥事で見せるパターンです。

私はとても悪質だと思ったのは、置石が原因というパネルまで出しての
JRがやった記者会見です。
これだけの大惨事だったので警察はもとより、事故調査委員会が徹底的な
原因究明をして根拠のないことが証明されたわけですが、
これが小さな事故だったら、責任は”置石の犯人”に転嫁され
被害者は泣き寝入りをすることになったかもしれないのです。

お客様本意はどの企業でも口にします。
安全第一も運輸業ならどこも口にします。
でも、それを本当の意味で徹底さすには大変なコストと、
経営トップの強い意思がない限り不可能といえます。
そんな事より、経営効率のアップを目指していたことは歴然としました。
また利用客も私鉄より運賃が高くても目的地に少しでも早く着くJRに
価値を求めていたとしたら【一分半の遅れを取り戻す】運転手の行為を
一方的に責めることも出来ないのではないでしょうか?

最も大切にしなければならないものは何なのか?
根本的な価値観問われる”事件”ではないでしょうか?

まったく話しが飛びますが…
イチローの超ファインプレーがまたまたありました。
ホームラン間違いないという打球をスパイダーマンのように外野フェンスに
よじ登り、身体を捻らせて逆シングルでボールをキャッチしたのです。
翌日の新聞にイチローのコメントが載っていました。
「あの球場で、あそこの打球が来たらやってみようと思っていた」というのです。
ようするに彼は、あらゆる事をイメージし想定しているという事です。

JR西日本は惨事に対して何のイメージも想定もなかったのでしょうか。
そして私も、いつ何があってもあわてず行動できるイメージと覚悟だけは
もっておかなければと思いました。

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