※2005年09月12日086号 |
「おまえはバカか!」 |
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「おまえはバカか!」 私は受話器の向こう側にいる相手に対して暴言を吐いてしまいました。 相手はそんなことを言われたことも無い幸せな人生を歩んできたのでしょう。 「バカとは何ですか!」の声のトーンも変わります。 「そんな事も判らないからバカと言っているのだ!」と私の血圧もピークに達します(^_^;) そばにいるYUKIが私に 「もう止めて下さい!理解出来ない相手に何を言ってもムダですから!」と叫びます。 電話の相手はT社損害課・課長代理のA氏です。 事の起こりは、バイクの保険に加入されているNさんがバイクの転倒し打撲をされました。 その時は大した事はないと我慢して仕事をしていたのですが、どうにも我慢できず約一ヶ月後に 病院に行きました。 その通院で支払われる搭乗者保険の給付金請求を廻ってです。 バイクは転倒してケガをする事も多く、搭乗者のケガを保障する搭乗者保険の保険料は 乗用車の保険料と比べてかなり割高に設定されています。 それだけリスクが高いという事ですから、私は少々保険料が高くても、しっかり加入しおくことをお勧めしています。 20年の代理店活動の中ではバイクの単独事故によるケガの給付は何度もありました。 対物事故や人命に係わる事故なら通常警察に事故届けをだしますが、 単独事故でケガをした場合は、それを客観的に証明するもの 例えば、目撃者の証明や、状況が説明出来る写真やケガの詳細と云ったようなものが必要になります。 ところが今回、この事故の保険金請求で損害課に連絡したら担当のH嬢が 「まず警察に事故の届出を出すようNさんに伝えて下さい」というのです。 私は「ちょっとまってくださいよ、今まではそんなことはなかったですよ」と言ったのですが、 本来は事故があったら事故届けを出すのが当然…と取り付く島もないのです。 問題は警察に事故届けを出すとどうなるか?です。 今回の事故は、相手のモノを壊したり、自分のバイクの車両損害を請求するものではありません。 あくまで自分のケガを証明するものです。 この場合、警察にも確認したのですが【人身事故】としての届出になるのです。 【物損事故】なら単に交番でどこで何時どうしたと届ければすむ事ですが 【人身事故】は扱いがまったく違います、刑事事件として扱われ現場検証をして おまけに免許の点数が3点減点され、場合によっては罰金まで請求されます。 人にケガをさせたならともかく、自分がケガをして罰則を受けるのも変な話ですし たった1日の通院給付金を貰うために、そこまでする人がほんとうにいるでしょうか? でも、損害課のH嬢は、過去ははどうあれ警察の事故届けがある事が給付金支払の条件で 免許書の減点や罰金なんて事は別の次元の問題で、保険会社としては関係ないというのです。 私はNさんにそのことを電話で伝えました。 Nさんはその数日後に警察に行きました、そこで… 「保険金の請求のために事故届けをしたいのだが、それをすれば免許の点数が3点減点され 罰金の可能性があるか言われたのですが、本当でしょうか?」と聞いたところ 「その通り!」と言われたけどどうすればいいのかと、Nさんは警察から私に電話してきたのです。 私はNさんに言いました「それでも事故届けを出しますか?」 「冗談でしょ!」というNさんに私は 「それでは、その警察の担当官の名前を確認して帰ってください」といいました。 私はこれらの経過も含め損害課と交渉した結果、 今回に関しては転倒したバイクの写真があれば 1日分の給付金をお支払いしましょうという事にはなったのです。 ところがNさんの通院日数は実際には3日間ありました。 損害課はあくまで「一日分なら出しましょう」と言ったまでで 3日分が欲しいなら、やっぱリ警察に届出をしろと、元の木阿弥です。 そもそも、相手もいないバイクの転倒でケガをした事を警察に届けたからと言って それが事実であったかと証明されるものではありません。 まして一ヶ月以上たっていて、警察は何を証明する事が出来るのでしょうか? それより客観的に示す写真や状況報告や通院した病院に確認する事の方が確かはずです。 その事を私は損害課のH嬢に詰め寄っても 「そういう決まりですから…」「そうなっているのですから…」「事故があったら事故届けが鉄則です…」 の繰り返しです。 しかし、このようことは事流れ主義は、今やお役所でも通用しない時代です。 これはT社にとっても大変大切な事なので私はH嬢に言いました。 「これ以上あなたと議論しても、あなたの立場があるのでしょうから、あなたの上司とこの事について じっくりお話がしたいので電話が欲しい」と依頼したのです。 その損害課課長のA氏の答えは、まったくH嬢の意見と同じ、それどころかもっと官僚的で お客様のNさんの給付金請求そのものを疑うような事まで言い出すにいたっては 私もキレてしまい、冒頭の言葉が出てしまったのです。 これでは低額の給付金請求では保険金を支払わないと言っているのと同じです。 せいぜい一日5000円から10000円の通院給付金を貰うために誰が減点や罰金覚悟で警察に 【人身事故届け】を出しにいくでしょうか? でも、損害課ではそんなことには関係なく事務的に警察に届けて下さいというそうです。 契約者は言われたままに警察に行き、事故届けを出して給付金をもらえるかもしれません。 でもその数日後、場合によっては免許書の停止や罰金の通知があったら契約者はどう思うでしょうか? 実際にそのようなクレームもあるようだが、我々は仕事を忠実に行っているだけで関係ないと断言するのです。 T社は数年前から経営品質の向上を謳い文句にトキオ・クオリティなる運動をしており そのセミナーに2回ほど参加しました。 私はそのセミナーで旗振り役を勤めるT社のK専務に言った事があります。 「口先でのお客様本位はよくあるが、T社が本気でやる気なのか?少なくとも保険代理店はお客様の 立場でやって行かなければ生き残れないので、それを邪魔するようなことはないように」と。 その運動も、最近ではまったく聞かなくなり、6月のハワイのコンベンションでK専務と会いましたが 退職されるという話でした(^_^;) まったく契約者の立場など眼中にないA課長の確信に満ちた言葉には怒りを通り越して 情けなくなって涙が出てしまいました。 保険代理店がお客様本位を貫き通すのは大変な世界です。 それが5月の私のHP閉鎖騒動や、今回の私の暴言につながるわけで、命がけです(^_^;) で、とうのNさんですが、私の怒りを伝えると… 「腹が立つけど保険会社なんてそんなもんでしょ、ところで損害課のHさんって可愛いいの? 彼女がちゃんとボクに説明してくれたら許しちゃうヨ」と 40過ぎて独身のNさんは鼻の下を伸ばしてそう言うのです。 マッタク! |
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