※2004年5月10日016号

テンプル大学

 
     
サルサとアルバイトと大学探しに明け暮れているヒロコが或る日…
「テンプル大学って知ってる?」と私にたずねました。
「あー知ってるよ、とっても良い大学だと思うよ…」 私は即座に答えました。
 「エッどうして?」

話はそこから7年ほど前にさかのぼります。
場所は麻布十番(東京)のスターバックス・カフェです。
オーストラリア旅行から帰ったばかりの私は(その頃我が家も少しはリッチだったのですが…)
友人のWとお茶を飲みながら、土産話に花を咲かせていました。
席を立とうとした時、隣のテーブルにいた金髪のとても可憐な若い女性が、微笑めかけています。
「私ハ、オーストラリア人デス…今ノ話ハトテモオモシロカッタ、日本語ノ勉強ニモナッタ、アリガトウ」
ととても素直に嬉しそうに話し掛けてきたのです。
なんで東京にいるのか?と聞くと…近くのテンプル大学の学生だというのです。

若い女性に、しかも金髪の美女から話し掛けられたオジサン二人はすっかり舞い上がってしまい…
友人のWはおもむろに名刺なんか出しちゃって…
「この近くの麻布に住む者だけど、息子の英語の家庭教師を是非やってもらいたい!」
なんて頼んでいるのです。
その時の彼女のチャーミングな微笑みとテンプル大学の名前は…はる風にような爽やかさで
しっかりと私の頭に残っていたのです。
したがって「テンプル大学って?」と聞かれ反射的に「良い大学」と答えたのですが…
「それじゃー答えになっていない!」とヒロコとYUKIに言われてしまい…
また3人で麻布にあるテンプル大学の説明会に行く事になりました。

小さな予備校のような校舎ですが、本校は米国フィラデルフィアの州立大学で東京以外に
ロンドンとローマにも分校があります。
 単位は本校・分校どこで取ろうと、行き来も自由に出来るという事です。
今は経済的理由(ずーとこの理由ばかりで情けないのですがトホホ)で厳しいが、
自力で稼いでも海外の大学に留学したというヒロコのニーズには合っていたようです。
そして1月(2001年)からテンプル大学の学生になったのです。

大学に入学するや『サルサ・クラブ』を立ち上げ…
授業は少人数でとっても楽しいらしく…シンヤとかロンとかナグワとかヒロコの口から飛び出すので
友達がかと思ったら教授のようです。(まー私もKENと呼ばれているのですけど…)
クラブ活動・授業・そしてアルバイトは多義を極め…ヒロコの手帳は私の手帳なんぞ及びもつかないほど
スケジュールがびっしり書き込まれているのです。
本校にいくのが目的だったヒロコ ですが…9.11のテロがあったり、教授からは日本校にいた方が
勉強になると言われ、留学の事は口に出さなくなりました。
そして私もYUKIもすっかり「ヒロコは留学はしない」と思うようになったのです。

ところが昨年9月、ヒロコは突然「1月から1学期間ローマ校に行く!」と言い出したのです。
お金は今まで3年間ほどのアルバイトで100万円ほどYUKIに預けてるから、それで行くというのです。
でも…YUKIは「ナイ」と答えました。