※2004年5月3日015号

サルサ

 
     
この頃はヒロコは大学も決らずストレスも溜まっていたようです。
そして…何を思い立ったのか「サルサを習う!」と急に言い出したのです。

 『サルサ』が最近流行りのラテンのダンスぐらいの認識は私にもありましたが、
 私は「なんでサルサなの?」 とヒロコに聞きました。
 「ストレス発散で楽しく踊れれば何でもいいんだけど、ラテンは血が騒ぐから…」
という事で新宿住友ビルの朝日カルチャーセンタ−の『サルサ教室』が
レッスン料も安く、先生も外人だから決めたと言うのです。

「ラテンは血が騒ぐ!」…この言葉を娘のヒロコから聞いた時は、私の血も騒ぎました。
 何を隠そう…私は!…………
 拓殖大学ラテン・アメリカ研究会に4年間在籍していたのです!!
そんな事を言っても…ヒロコも・ユキも・(誰も)「なんのこっちゃ?」とバカにするのです。
「じゃーそこで何をしたの?」と聞かれてしまうと「何をしたんだろう?」と素直に思ってしまうのは
少々情けないのですが…なにしろ楽しい青春時代を過ごしたのです。
そして、そのラテン・アメリカ的人生観が幸いしたのか?災いしたのか?
今でも貧しいながら楽しい人生を送っているのです。

サルサ教室に通いだしたヒロコは、我が家でもサルサの曲で練習をします。
それを聞いて私の血が騒ぎ、私はヒロコから少しだけサルサを教わる事になったのです。
ところが…厳しいのです!怖いのです!これが親に対する態度なの?と思うぐらいスパルタなのです!
血が騒ぐのと、リズム感とはどうも比例しないようなのです。
その練習風景をユキは涙を流して笑い転げながら見るのを日課にしているのです。

ある日、ヒロコは私を『サルサ教室』に連れていくと言い出したのです。
私は「お金が無い!」と言えばヒロコは「私のバイト代から払う!」と言い…
「着ていくモノが無い!」と言えば、ユニクロに連れていかれ…
「踊るとハラが出ててズボンが落ちる!」と言えば、サスペンダーを買わされ…
ついに『サルサ教室』に行くハメになってしまったのです。

サルサの先生はクリスティーナという
ドイツ人でフランス語とスペイン語とフラメンコとサルサを教えてながら絵画の個展を開く
ニューヨークの名門ジュリーアード音楽院出身の美女で才女でパワフルでハッピーな…
納豆と焼き魚が大好きなヘンな外人です。
そのクリスティーナに私はナゼか気に入られてしまい…サルサの世界に拉致されるのです。